テーロスフルスポイラー
http://www.wizards.com/magic/tcg/article.aspx?x=mtg/tcg/theros/cig

リミテッド視点で気になるところをいくつか。

【白】

・ウィニークリーチャーは平凡
2マナ域に熊、CIPで対象をタップする2/1、攻撃時に人間に飛行を与える1/1ペガサス。 3マナ3/2、条件付きライフゲイン。
派手さはないが悪くはないと言ったところでしょうか。

問題はこのエキスパンションはタフネス3越えのクリーチャーがコモンにごろごろしているので、これらの価値が相対的にかなり低くなりそうなところでしょう。
ただ並べてもすぐに止まってしまうので強化スペルの使用は必須。

・壁役は十分
1マナ0/4、2マナ1/3、3マナ1/4。
これ全部コモンで、うち二枚はメリット付き。赤と緑の一部を除く大抵の地上クリーチャーは止められるはず。

・ハマれば強い飛行クリーチャー
前述の人間飛ばすペガサス、3マナ2/2飛行、英雄的でカウンターが一個乗る天馬の乗り手と5マナ3/2飛行、緑マナ注ぐとパンプするグリフィンの3種。

ペガサスは人間と固めれば速攻デッキが作れそうです。テーロスには1/1飛行トークンを出すカードはないので、比較的なぐりやすい環境だとは思います。

3マナ2/2飛行はダブルシンボルである点がネックですが、3/3ともなればかなりの脅威になります。このクリーチャーはあらかじめ英雄的狙いのアーキタイプを狙うのに十分な強さがあります。

緑マナパンプグリフィンも緑マナさえあればコモンフライヤーでは滅多に実現できないサイズになれるので、狙ってもよいと思います。

・除去はまあまあ
今回めでたくタッパーが帰ってきましたが、パワー3以下しかタップできないのであまり頼りになりません。

しかしスペルで今わの際と神聖なる評決がそれぞれあり、システムクリーチャーファッティそれぞれに対抗手段は用意されています。
特に神聖なる評決は鈍重ファッティの多い赤や緑に対してかなり有効でしょう。

・高レアリティは強い
これは白に限らない話ですが、テーロスはアンコレアがすごく強いです。
特にクリーチャーはコモンと比較すると極めて大きな差があります。

ドラフトではいかにうまく高レアリティの強力カードでデッキを固められるかが勝負の鍵を握ることになります。
つまり運の要素の比重が大きいということ。

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白にはただ単純に強いというカードが少ないため、シナジー(英雄的)を重視したデッキ作りは必須でしょう。
白をメインカラーにするにはきちんと戦略を練ってからの思い切ったピックが必要になりそうです。

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【青】

・飛行は過去最強クラス、壁も悪くない
4マナ3/2飛行にメリット能力を持つ水撥ねの海馬(←飛んでいませんでした)、5マナ3/4飛行にメリットを持つ先見のキマイラ、4マナ1/5飛行、《天空のアジサシ/Welkin Tern(M13)》の同型再販、青ニンフ。
各マナ域に実用レベルのフライヤーがわんさか揃っています。

そして地上を止める壁役も3マナ1/4、2マナ1/3に加え《記憶の壁/Mnemonic Wall(ROE)》が再録。メリット付き3マナ2/3もいます。
やや枚数は少ないですが、壁役は他の色でも補えるので十分ではないでしょうか。

・バウンスは強い、カウンター、ドローは不安
《捕海/Griptide(DKA)》と占術付き送還は怪物化のけん制に大いに役立ってくれそうです。英雄的でカウンターの乗ったクリーチャーにも強い。

変わりにカウンターとドローに不安が。
コモンに確定カウンターは存在せず、ドローもソーサリー6マナで3枚ドロー。
特にカウンターが無いのは高マナ域に強力クリーチャーが多いテーロスでは辛いでしょう。

《閉所恐怖症/Claustrophobia(ISD)》のような擬似除去も無いので、一度マウントを取られると厳しい戦いになりそうです。他の色で上手く補いましょう。

・アンコレアも強い
アンコレアにも優良フライヤーてんこ盛り。
各レアリティ満遍なくプレイアブルカードに恵まれており、ドラフトでは人気カラーになりそうです。

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M14に引き続き強カラー候補です。
M14と比べるとカウンター、ドロー、除去面で劣りますが飛行クリーチャーのサイズと量で補って余りある強さではないかと。
戦術も極めてオーソドックスなので、環境初期から人気のカラーになりそうです。

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【黒】

・除去、壁、回避。全部あります
黒と言えば除去。《ソリンの渇き/Sorin’s Thirst(M12)》の同系再版、タフ1除去の毒蛇座の口づけ、X=4固定の《死の風/Death Wind(AVR)》、6マナソーサリー確定除去。バラエティに飛んだ内容で十分。

壁役では2マナ3/3防衛の蘇りし者の密集軍が目を引きます。青マナがあれば殴れるので、できればタッチしておきたいですね。
1マナ1/1、再生持ちや蘇りしケンタウロスという4マナ2/4CIPでライブラリー削るオマケ付きなやつもいます。

回避では黒ニンフが威嚇持ち。
3マナ2/1飛行CIPでライフ1点ルーズさせるのハーピーも相手の飛行を除去できる黒にとっては十分な性能ではないでしょうか。

・アドバンテージもしっかり取れる

まず3マナでカードを二枚引ける骨読みが直接的アドカード。
墓地からクリーチャーを二枚回収するソーサリー、場に出たら信心に対応した《脅迫状/Blackmail(ONS)》するクリーチャー。

全部コモンで取れるので、アドバンテージを稼ぐ能力では青を抑えてトップ。

・もちろんアンコレアは凄く強い

怪物化でクリーチャー破壊する形見持ちのゴルゴンは全アンコモンの中でも最強クラスの一枚でしょう。
とにかくリミテッドで強力な要素を詰め込んだレアが多く、外れがほとんどありません。思考囲いも、このパワーカード環境では強力な一枚でしょう。

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個人的に黒は一押し。プレイアブルカードが非常に多いのが良いところ。
地上クリーチャーで攻撃に向いているクリーチャーはおらず、今回の黒はコントロール気味に動く色です。
そして置物に触れられないというデメリットを除けば、リミテッドに必要な要素を全部自色でカバーできます。
特にコモンの信心コンビもいるので、ガメられれば他のどんな色をも凌駕するデッキになると思います。

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【赤】

・物理で殴れば勝てる
2マナ2/3、3マナ2/2速攻CIPで+2/+0、4マナ4/3、5マナ5/3CIPで粉砕。
コモンの中堅地上クリーチャーで圧倒的パワーを誇るのが赤です。

そして注目は不機嫌なサイクロプス。
4マナ3/3トランプルのボディに6マナで怪物化3。コモンの生物でこの使いやすさは素晴らしいの一言。

それらを直球クリーチャーとするなら変化級もあるのが今回の赤。
3マナ1/2二段攻撃の二種はニンフらオーラによる強化戦略を後押しするでしょう。

・除去も強い
《灼熱の槍/Searing Spear(M13)》同型再販、1マナ1点占術火力、5マナ4点火力(ソーサリー、クリーチャーのみ、占術つき)の3種が基本になるでしょう。

一応8マナ5点振り分け火力なんていう凄まじいものもコモンにあります。マナが沢山出そうなデッキなら入れてもいいかも。

・タイタンの力に注意
1マナで対象に+3/+1、占術1をするタイタンの力には注意しましょう。
このたった1マナで唱えられる赤のコンバットトリックは壁突破に最適です。
ちょうどスポイラーで隣にいる二段攻撃ケルベロスとのシナジーも覚えておきたいですね。

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赤はかつてのゼンディカーを彷彿させます。
十分なサイズのクリーチャーと火力は《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant(ZEN)》や《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》を《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》でバックアップしていた時とよく似ています。

ディフェンシブなクリーチャーが目立つテーロスの中で唯一と言ってもいい攻撃的カラーです。

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【緑】

・マナブースト、ファッティ。
緑で注目はコモンファッティ二種。ネシアンのアスプ(5マナ4/5到達7マナで怪物化4)、巨体の狐(6マナ6/5トランプル)。
コモンでここまで良レシオのファッティを用意できる色は緑だけ。

そしてそこに繋げる《ネシアンの狩猟者/Nessian Courser(FUT)》、菅草の蠍(緑のチフス鼠)、旅するサテュロス(2マナ、T:土地ひとつアンタップ。)達。
緑のニンフは2/2到達なのでこれまた序盤の要になります

方向性は明確で、序盤をなんとか凌いで得意のサイズ勝負に持ち込むこと。
低マナ域での勝負は考えなくてよいでしょう。

・レアもアンコもファッティ
緑はコモンから神話まで方向性が徹底した色です。
とにかくデカイ。

マナブーストは必死に集めましょう。

・古代への衰退、いれましょう
ニンフやら神やらでやたらとエンチャントの多い環境。
アーティファクトも実用的なものが多いです。
古代への衰退の対象にはそこまで困らないはずなのでメインから入れておきましょう。

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緑は恐ろしく単純です。
それでいてパワフル。
似たような役割のカードが多く潰しが効きやすいので、ドラフトもしやすいと思います。

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【多色、アーティファクト】

・レア多色はタッチを視野に
レアの多色は大体強いです。
しかしテーロスで多色カードは多くありません。なので初手でとった多色レアでその2色を固定するというようなやり方はピックを狭めることになるのでやめたほうがいいでしょう。

テーロスには幸いアーティファクトでの色マナサポートがあるので、それらを上手く使いましょう。
基本は2色タッチ1色ぐらいがよいと思います。

・色マナサポートはお早めに
乳白色の一角獣(3マナ1/2、T:好きな色のマナ1点)は怪物化で沢山マナがかかるのに役立つのはもちろん、コモンにいくつか存在する「自身の色と異なった色のマナを要求する起動形能力を持ったクリーチャー」達のサポートにも大いに役立ちます。

再録された旅行者の護符も同様の理由で強力。

どちらもドラフトではすぐ消えてなくなりそうなので、早めのピックを心がけましょう。
どういうわけかフルスポが完成したテーロス
http://www.mtgsalvation.com/theros-spoiler.html

リミテッダーが気になるコモンアンコモン。
それらが完全網羅されたスポイラーはついに出揃った。

そこで発見した驚愕のカード達について語りたい。

まず一発目はこいつだ。

Ephara’s Warden 3W
Creature — Human Cleric
T: Tap target creature with power 3 or less.
1/2


マナのいらないタッパーは優秀だが、何かがおかしい。

ちなみに過去こんなクリーチャーがいた。

Ballynock Trapper / バリーノックのわな師 (3)(白)
クリーチャー — キスキン(Kithkin) 兵士(Soldier)
(T):クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。
あなたが白の呪文を唱えるたび、あなたはバリーノックのわな師をアンタップしてもよい。
2/2


このタッパーとの比較は実に興味深い。

まずパワーが1下がってしまっている。
まあそこはシステムクリーチャーだから百歩譲ろう。

さらになんてことだ、白い呪文を唱えても起きない。
残念なことだが、実はわな師もこの能力の恩恵に与る頻度はそこまで高くなかったのでこれも千歩譲ろう。

しかしパワー3以下しか押さえ込めないのってのはどういうことだァ!!

もはやタッパーとしての価値は激減。
タッパーが強力カードたる所以とは、あらゆる対象をそれがシステムクリーチャーでない限り封じ込めるところにある。
しかしこのテーロスのヤツは技量が低いのか小物しか相手にできないようだ。

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とまあこんだけ文句を垂れつつも、結局ピックしたらデッキに入れてそう。
フライヤーとか壁寝かせるなら悪くないし。
コモンシステムクリーチャーデフレ計画は着々と進んでいるようである。
参加費無料でM14が2パックもれなくもらえると聞いて行ってきました。

選んだデッキは緑で作ったデッキも緑単。

全1回戦でした。

R1 黒単

G1:泥沼病、堕落でファッティ除去される厳しい展開。2/3ミノタウルスに吸血鬼の印ついてgg。

G2:マナクリスタート。2ターン目に3/3を出し、その後も緑ならではの高マナレシオファッティを連打して勝ち。

G3:G2と同じ展開で勝ち。

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というわけで1-0。
除去ない色で後半戦の不利な状況の挽回が難しいから、マナクリか3/3ないハンドは迂闊にキープしないほうがいいと思いました。

緑単なのになぜか夜の群れの雄叫びが入っておらず、7マナ域に大織り手とか6/7鹿がラヴニカへの回帰から参戦しているという謎めいたデッキでした。
構築済みデッキはパックを買って改良する機会を与えるためにあえて弱いカードを収録しているようですが、これも同じなんでしょうね。
《灼熱の槍/Searing Spear(M13)》の後釜っぽい火力が登場した
後釜というかそのものなんだが。
なんとテキスト左上以外は完全同一。フレイバーテキストが違うとかエキスパンションシンボルが違うとかコレクターナンバーが違うとか、細かな違いはあるが基本同じ。

カード名は稲妻の一撃となっておりいたってシンプル。
今までありそうで無かったカード名である。

その名といいマナコストといい現スタンにある《雷の一撃/Thunder Strike(M14)》と大変紛らわしい。区別のためにも「の一撃」部分を取り去っていただきたいが、当分は無理であろう。

まさかこんなカードが登場するとは思っていなかったので、次期スタンはついに《滅殺の火/Annihilating Fire(RTR)》がメイン火力になるのか~と考えていたのだが、どうやら赤い多くのデッキリストに

4 稲妻の一撃

と書かれることになりそうである。

ともあれ今まで通りタフネス3が一定の基準になりそうな環境なので、先に出てた超強化版番狼もなんとかなりそうな気配。
同時収録の《マグマの噴流/Magma Jet(5DN)》とスロットを争うことになるか、はたまたどちらもデッキに投入されるのか。

いきなりこんな選択肢があるぐらいだし、これからしばらく火力事情は安泰だろう。
《番狼/Watchwolf(RAV)》の後釜っぽいライオンが登場した
《番狼/Watchwolf(RAV)》の後釜っぽいライオンが登場した
RTRにて惜しくも再録を逃した番狼。

代役として《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》が収録されたが所詮はトークン。《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》の前に散りゆくのはあまりに痛く、スタンダードにてその姿を見かけることはあまり無い。

かつてスタンダードでブイブイいわせた多色仲間の化膿はDGMにて再録となったが、番狼はRTRブロックにて登場することは無かった。

しかしその番狼、1年遅れて満を持しての登場である。
残念ながらクリーチャータイプは愛すべき狼から猫になってしまったが、依然そのマナレシオは健在であり《灼熱の槍/Searing Spear(M13)》無き後のスタンダードという草原を走り回る姿は想像に難しくない。

しかもどういうわけか怪物化までする。
猫が化けて化け猫になるということか?

その怪物化もまさしく怪物化と呼ぶにふさわしい能力。4/4破壊不能、呪禁はスペルでの対処は極めて難しい。《肉貪り/Devour Flesh(GTC)》をうまくあわせるぐらいしかない。つまり化ける前に倒せというわけだ。
幸い化ける前はただの3/3なので、除去があればさっさと倒してしまおう。もちろん怪物化に合わせてスタックで除去しても構わない。

まあ化けの皮が剥がれようと(現実に剥がれることはほぼ無いが)そもそも番狼なのであまり気にしなくてもよい。怪物化持ちレアってこんなのばっかだな。

特にテーロスにて同時登場の《ユートピアの木/Utopia Tree(INV)》リメイクが0/3というびっくりするほどユートピアなタフネスを持っているので、それを越えられるクロックを2ターン目に用意できるのはすばらしい。
《復活の声/Voice of Resurgence(DGM)》なんていうもやしクリーチャー(もやしのクセに値段は高級だな)を使うぐらいならこれを使うぜ、という環境になってもおかしくはないのだ。
雷口の後釜っぽいドラゴンが登場した
その名、嵐の息吹のドラゴンである。

赤マナダブルシンボルで5マナ4/4ではリミテッドなら悪くないが、構築ではお呼びでない。

しかしそこに飛行が付くとどうなる?
一気にリミテッドのエースに昇格だ。
残念ながらこの時点でも構築では力不足。《大気の精霊/Air Elemental(M10)》が活躍したスタンダードは10年以上前に去った。

さらに速攻を付けてみよう。
リミテッドではエースどころか大エース様。かつてRTRドラフトで《超音速のドラゴン/Hypersonic Dragon(RTR)》がタッチしても使われたように、この組み合わせはえげつない。
ここまでくると構築でもやれそうだ。ポスト雷口として超音速のドラゴンに密かに期待していたのだが、赤単色で同等の性能を持てるならこっちのほうがよさそうだ。

そしてプロテクション白である。
もはやリミテッドではオマケレベルの能力。ぶっちゃけ無くても大差ない。
しかしプロ白が構築で意味するところは大きい。なにせ《拘留の宝球/Detention Sphere(RTR)》や《戦導者のらせん/Warleader’s Helix(DGM)》では対処できないということを意味するからだ。

現状タフネス4を除去できるピン除去スペルなど精々《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars(RTR)》ぐらいであり、明らかに除去耐性に違いがある。こいつのために《破滅の刃/Doom Blade(M12)》や《究極の価格/Ultimate Price(RTR)》はその価値を見直される段階に突入するかもしれない。

この能力マニアのドラゴンはこれだけ与えてやっても物足りないらしく、極めつけに7マナで怪物化までする。

せっかくの新キーワード能力にも関わらず最早おまけのような扱いだが、マナフラッドはいつ貴方を襲うかはわからない。たとえそれが構築のフィールドだろうとだ。
つまり無いよりあったほうがずっといいのである。

ついでに怪物化すると《突然の衝撃/Sudden Impact(10E)》が誘発するが、まあいいや。

そしてこれらから導かれる結論とはただ一つ。

嵐の息吹のドラゴンは強い
皆大好きテーロスのスポイラーはこちら
http://www.mtgsalvation.com/theros-spoiler.html

今日沢山追加されました。
コモンも出だしていて、テーロスセット全体像が見えつつあります。

しっかし大雑把なクリーチャーが多いエキスパンションですね・・・。

レアの怪物化サイクルとか神サイクルとかえげつない能力持ち多すぎ。
アンコモンも自分で島作って殴りにいく海蛇とかいるし、リミテッドが怪獣大決戦になりそうな予感。予見付きアンサモンが凄く強そうな環境になりそう。

コモンでもネシアンのアスプはシングルシンボルの5マナ4/5到達というだけで十分強いのに怪物化までするなんて、これ本当にコモンでいいのかと思います。

まあ早めに公開されるコモンカードってそのリミテッド環境のエースクラスであることが多いので、今後はアスプクラスの怪物はそうそう出てこないとは思いますが。というかそうであってくれ。

さらにアンコモンにエルズペスのイラストで《大物潰し/Smite the Monstrous(ISD)》っぽいのが6マナで出ていますね。エルズペス本人もパワー4以上を全滅させる能力持ってるし、《剛胆な勇士、エルズペス》という名前にでもしておいたほうがよかったのでは?
こんな除去がアンコモンに設定されているあたり、苦労して出したファッティをそう簡単にはやらせんぞという開発部の思いが伝わってきます。
TV放映当時から好きな作品だったので、劇場版も見てきました。

内容はTV版を振り返りつつ5人それぞれの1年後を付け足したもの。
視点も五人それぞれで語られます。

実際にはほとんどTV放映版の総集編みたいな内容だったので、真新しい内容を期待している人には物足りないかも。

かといってTV版見てない人が見るのには尺が足りてない気もするし、なんとも中途半端な印象は拭えなかったかなあ・・・。

まあ元の話自体が面白いので普通に楽しめました。

エンディングテーマはsecret base~君がくれたもの~10years after Ver.がTV版同様使用されていますが、1年ぐらい経った今なおいい曲ですね。これを劇場のスピーカーで聴けるのは価値がありますよ。

個人的にこのアレンジVer.ではラストサビ入る前の「いつまでも二人の基地の中~」部分が特にお気に入りです。曲全体としてもトリプルボーカルが上手いこと融合していて飽きませんね。
テーロススポイラー
http://www.mtgsalvation.com/theros-spoiler.html

《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》が再録されるみたいですね。
DNで思考囲い再録の文字が踊っていたので念のためサルベ確認したらマジでした。

思考囲いと言えばその金額の高さがモダンの敷居を上げる要因の一つになっていたカードですが、これで少しは値段も落ち着くのでモダンに参入しやすくなるでしょう。
この調子で高額カードはドンドン再録していってほしいですね。モダンマスターズも再販しないかな。

さておき思考囲いと言えばライフロスのデメリットを除けば非常に強力なカード。
高速ビートが蔓延るような環境でも無い限りは2点のロスは問題になりませんが、昨今のクリーチャーの強力さを見るとこのデメリットは無視できませんね。

だったらライフゲイン手段と組み合わせて使いましょう。
そしてライフゲインと言えばオルゾフ。

なんといっても1マナという軽さはオルゾフの強請と相性抜群。
構築級の強請というと《盲従/Blind Obedience(GTC)》ぐらいしか今のところは実績を残せていませんが、《徴税理事/Syndic of Tithes(GTC)》や《税収飲み/Tithe Drinker(DGM)》が通用する環境にならないとも限りません。

ついでに《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa(DGM)》や《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council(GTC)》との相性もいいですね。
特にこの二種は対抗策が非常に限られているので、思考囲いで対抗策を抜き差ってから登場させるというのは理に適ったプラン。《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars(RTR)》を抜いてから血男爵を降臨させるとか素敵じゃないですか?
ワンチャン行こうかと思っていた北九州ですが、今日完全に目が無くなりました。
国内グランプリには2009年以降は毎回出続けていたけど、これにてお仕舞い。
思えばここ5年くらいはマジックにどっぷり浸かってたなあ・・・。

北九州行く人はトロフィー目指して頑張ってくださいね~。

今のメタだとトロスターニがソリューションなんじゃないかと思ってます。
キブラーグルールはこれ除去できないし、ジャンドも除去スロットが確定ピン除去からかがり火や迫撃砲に変わって生き残りやすくなってますしね。

カバレージをのんびり眺めながら週末は過ごすことにします。
去る8/11にゲームデー@BM矢場町に行ってきました。
GP名古屋以来ひっさしぶりに構築のイベントに参加しましたが、たまには悪くないですね~。

デッキはグルール。
最近はやりのミッドレンジではなくて、反抗者を使った赤単に緑タッチしたやつです。
M14出る前は主流だったタイプ。

特に変なギミックもないのでリストは割愛で。
参加者は忘れましたが予選5回戦でした。

1戦目:赤黒交易所コン ○×○

1:先手から炎樹族とかからめてクリーチャー連打しまくって勝ち。
2:後手なので相手の除去が間に合い負け。
3:先手なのでもぎとりノンケアのブッパ展開。持たれて無くて勝ち。

2戦目:赤白人間 ○○

1:先手からスムーズに展開。ブロッカーは焼いて勝ち。
2:相手マナスクリューで勝ち。

3戦目:青緑赤エルフ ○○

1:焼いて殴って湧血して勝ち。《練達の生術師/Master Biomancer(GTC)》とか出てきてビビる。
2:同上。


あとは2回ID。
なんて中身の無いレポなんだ・・・。

SE
1戦目:ジャンド ××

1:こっちのクリーチャー除去しつくされて負け。
2:5マナ溜まって次ターン《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars(RTR)》超過ワンチャンの場面までいったけど、ラクドスリターンされて負け。


というわけで1没でした。
無念。

予選三回はトップメタ群(ミッドレンジグルール、ジャンド、トリコあたり)に当たってないのが幸いして勝てたのですが、除去てんこ盛りのジャンドはきついですねえ。
祭り始まってbotに大量のM14カードが流れたせいか、プレリ時と比べてカードの価格が大幅に下がっていますね。

筆頭レアであるウーズ、変わり谷はそれぞれプレリ時は15チケ近かったのに今や8チケあれば買えてしまうお値段。たった数日でここまで下がるものなのか・・・。

ザスリッドの死術士も8チケぐらいしてたのが5チケまで下がってるので、神話でないレアにはほとんど期待できません。

一方パックは3.25チケまで上がっています。
祭りドラフトで大量に消費されているのでしょうね。

しかしこんなにシングルが安いとドラフト専には辛いです。
プレリドラフト=損というイメージがあったのですが、ここまでシングル価格が下がると本当に祭りドラフトはプレリドラフトと比べて得なのかどうか疑問が湧きます。

祭りドラフト(M14×3+2tix=11.75tix)
プレリドラフト(15tix)

と比較すると3.25tixの差がありますが、シングル価格の期待値下降分で相殺されてたりしないか不安であります。
地鳴りの踏みつけ 1R
ソーサリー C

このターン、飛行を持たないクリーチャーではブロックできない。


一昔前はこういうブロッカー一時除去系のスペルは評価されていましたが、最近はあまり評価されませんね。
M10の睡眠は初手級カードでしたが、同様の効果を持つRTRの瞬間移動門や爆突風、GTCの交通渋滞はよく一周してました。

理由は軽量クリーチャーのレシオ上昇による環境高速化です。
この手のスペルが威力を発揮するのはお互いがクリーチャーを並べあって膠着した盤面ですが、こんな呪文使わなくても最初から突破力のあるクリーチャーを使えばいいって話。
むしろこの手の呪文にスロットを割くことでクリーチャー展開に差をつけられるデメリットが顕著になってきました。

さてM14の話。
このセット、久しぶりに遅いセットです。RTRやGTCのように2マナや3マナでパワー3が用意できるセットでないのは確か。

ならばこの手のスペルの評価もちょっと上げてもいいと思ってます。
というのも丁度このスペルで負けたことがあったので。

場は

相手:レガーサの火猫×2、ゴブリンの近道抜け
こちら:アタックしてタップ状態のイーヴォ島の管理人(2/2飛行)、古術士と水の召使い

ライフ:相手16、こちら14


の状態から地鳴りの踏み付け打たれて10点もってかれた次ターン、溶岩噴火で負けました。

ブロッカー2体いれば大丈夫だろうという考えがあったわけですが、一枚のコモンカードによってあっさりとその考えが覆される羽目になった例です。

レガーサの火猫はその低いタフネスから大抵のクリーチャーと相打ちになってしまいますが、こうやってこじ開ければ高いパワーを存分に発揮できるというわけですね。
実に簡単な話ですが最近こういう環境のマジックをしていなかったのでなんだか新鮮な気持ちになりました。

赤にはコモンの高パワークリーチャーとしてレガーサの火猫の他に無法の鎚角がいるので、一度これらと共に地鳴りの踏みつけしてみてはいかがでしょうか?
再び決め打ち気味に青やって、前回(http://85872.diarynote.jp/201307271920304275/)と同じような青赤デッキを組んだいぜっと。

「よーしパパ今回も3-0しちゃうぞー」

などと余裕をかましつつ始まった2戦目

G1:骸骨(死んだとき1B払うと戻ってくる)⇒夜の子⇒血の幼子と連打され負け

G2:精神焼き⇒オーガの戦駆り⇒溶鉄の誕生のスペシャルコンボで負け

で瞬殺されてしまった。呑気に予言とか打ってる余裕有馬温泉。
2ゲーム合わせて5分ぐらいで終わってしまいましたとさ・・・。
まさか溶鉄の誕生がここまで強力なカードだったとは思いませんでしたねえ。

以前「M14はシステムクリーチャー弱いから青除去で問題ない」とか言ってたような気がしますが、オーガの戦駆りをすっかり忘れていました。

M14の速度を甘く見ていたと言わざるを得ません。油断が招いた敗北です。
皆さんもオーガの戦駆りには気をつけましょう。


プレリは割りにあわないと知りつつも、現実世界で構築した自分の理論が通用するかを確かめたくて参加しました。

raredraftにピック譜上げましたが、画像表示されなかったのでピック譜は割愛。

なので表題の通り1-1のパック内容を晒します。

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コモン

否認
夜の子
地勢
キャパシェンの騎士(2マナ1/1先制、2マナで+1/+0)
捕食スリヴァー(筋肉スリヴァー)
海岸ドレイク(2マナ1/3飛行)
ゴブリンの近道抜け
神聖なる好意
血の儀式文(黒の5マナ除去)
精神腐敗

アンコモン

放逐する僧侶(2/2の《悪鬼の狩人/Fiend Hunter(ISD)》)
不死の霊薬
精霊への挑戦

レア
血なまぐさい結合

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さあ、どれを取りますか?

放逐する僧侶?

それとも捕食スリヴァー?

あるいは血の儀式文でしょうか?




私は海岸ドレイクを取りました。
M14発売前の自分なら絶対ありえないピックをしてるなあ。

なんでドレイクかと言えば、M14は青が強いから青のカードを取りたいからです。
いわゆる決め打ち。「M14とはすなわち青である」という理論に基づき行ったピック。

このパックにドレイク以外に青の強カードが無いという後付けの理由も設定できますが、他に青のプレイアブルカードがあったとしても青をやっていたと思います。

そんな青を枯らし2周目でおいしいところを取ろうという目論見の末、できたデッキがこちら

2 海岸ドレイク
1 ゴブリンの近道抜け
1 ドラゴンの雛
1 巻物泥棒
1 レガーサの火猫
1 ドラゴンの卵
1 アカデミーの略奪者
1 峡谷のミノタウルス
1 無法の鎚角
1 古術士
1 伝書ドレイク

1 感覚の剥奪
1 ショック
1 本質の散乱
2 予言
1 時の引き潮
1 閉所恐怖症
1 取り消し
2 チャンドラの憤慨
1 幻影の鎧


9 島
8 山

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青赤のアドバンテージ系デッキです。

R1:白緑 ○○

ブロッカー焼きまくって巻物泥棒通し続けて勝ち。
もう一つは相手のスクリュー。
放逐する僧侶が出てきたのでおそらく下家かな?

白緑 ○×○

一本事故負け。
オーラレスポンスに除去打ったり、サイドの潮縛りのが魔道士が刺さったりで勝ち。

黒単 ×○○

一本事故負け。
残りはアドバンテージ勝負になって予言や古術士のアド差により勝ち。

夢魔、泥沼病、堕落全てそろったパーフェクト黒単でした。
勝因は精神腐敗を打たれなかったことでしょうか。

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というわけで上出来の3-0でした。
初手のドレイクはその後さらに2枚取れたこともあり1枚はサイドボードに潜むことになりましたが、こうした思い切ったピックで3-0できたのは嬉しいですね。

果たしてこの青決め打ち理論はどこまで通用するのか・・・?
先々週末、先週末で10回弱M14ドラフトをやりました。

それを踏まえて表題の色の強弱の話なんですが

青が強すぎる

なんか卓の上位者成績見てると青ばっかなんですよね。
その青についてザッと思いついたままに書きます。

なぜ青が強いか?

理由はおおまかに4つ

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・アドが取れる
・カウンターが強い
・除去が強い
・飛行が強い

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<アドが取れる>

まず前提としてこの環境は遅いです。
理由はタフネス偏重のクリーチャーが多く、それを突破する手段に乏しいから。

かつてのセットではタッパーや優秀な除去によってアグロデッキが壁を突破する要素があったのですがM14はそういう要素はありません。

遅い環境ではアドバンテージを取れるカードが強くなります。

そしてアドバンテージと言えば青。《予言/Divination(M14)》のことですね。
M14のコモンで直接的にアドバンテージを稼げるカードはこれか《精神腐敗/Mind Rot(M14)》ぐらいのものではないでしょうか。

<カウンターが強い>

もう一つ、低速環境で威力を増すのがカウンターです。
M14でゲームを決める強力なスペル(壁を突破できるクリーチャーや除去)は大抵4マナ以上のものなので、《取り消し/Cancel(M14)》が間に合います。

今までの環境では一度出た相手のクリーチャーに対する対抗策(大抵の場合はクリーチャー)をプレイする必要があり、カウンターを構える余裕がないという展開がよくありました。
ゆえにカウンターの評価もそこまで高くなかったのですが、M14の低マナ域クリーチャーはかなり貧弱なのでカウンターを構える余裕が十二分にあります。
不味いのは精々スリヴァーを高速展開されたときぐらい。

<除去が強い>

M14は一部スリヴァーを除いてシステムクリーチャーが弱い環境です。
システムクリーチャーが弱いということは、除去スペルに求める条件も変わります。
システムクリーチャーの効果を退けるために場から排除する必要は無くなり、単に戦闘力を削ぐだけでよくなりました。

M14では青に感覚の剥奪と閉所恐怖症が再録されました。
これら二枚は非システムクリーチャーへの信頼性の高い除去としてカウントできるようになっています。
青はクリーチャー除去が乏しいという点がリミテッドにおいては弱点でしたが、今回はその弱点が相対的に緩和されています。

<飛行が強い>

今回の青の飛行は最強です。
というか白の超絶弱体化により最強になりました。

コモンでパワー3の飛行(伝書ドレイク)を用意できる唯一の色が青です。
アタッカーとしての伝書ドレイクとやり合って相打ち以上を取れるクリーチャーはコモンには《命取りの出家蜘蛛/Deadly Recluse(M14)》しかいません。

となると除去で対抗するしかないわけですが、伝書ドレイクを除去したら除去したでアド損ですよね。こいつ見た目も強いけど、それ以上に環境に愛されてる強カードです。

《ネファリアの海鳶/Nephalia Seakite(M14)》も相変わらず強力でした。
特にカウンターが強力な環境柄、瞬速が尚更強くなってます。

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以上が青が強い理由です。

ちなみに最弱は間違いなく白 です。
青1強、白1弱、その他という構造が出来上がっていると思います。
プレリパックを使ったドラフト会に参加しました。
ドラフト3回やった結果は

1回目:緑黒 ×○○
2回目:赤黒(ハスクコンボ型) ○×○
3回目:黒単t白 ○××

でした。
全部黒絡みですねw

大雑把に感想を述べていきます。

・膠着しやすい
色に関係なく全体的に膠着しやすい環境だと感じます。
地上クリーチャーに妙にケツでっかちなクリーチャーが多いので中々突破できずに膠着するという場面が度々見られます。

となると飛行持ちが注目されるわけですが、M14の飛行持ちもパワーが低いクリーチャーが多いためこちらもあまり突破できません。
特にコモンに2種類の1/3飛行(グリフィンの歩哨、海岸ドレイク)がいる上に、緑に2種類の蜘蛛(命取りの出家蜘蛛、大蜘蛛)がおり、飛行戦力もケツデカクリーチャーが揃っているのでやはり膠着します。
加えて黒には接死バジリスクもいるため、セラ天のような飛行ファッティが出てもにらみ合いになることが多いです。
M13の時のように賛美も無いため、一度止まると止まりっぱなしという状況が頻発します。

上も下も低マナ域のクリーチャーのパワーがとにかく低いため2マナ、3マナのクリーチャーでビートする戦略は取りにくい環境だと感じています。

・突破のためのオーラ戦術は諸刃の剣
では膠着をどう打開するか?
通常はパワーを上げる装備品だったり、除去だったり、賛美だったりするわけですがM14ではそれが難しいです。

まずコモンでパワーの上がる装備品がありません。
除去スペルもクリーチャーが硬いのに対してタフネス参照除去のものが多いため、
アテにしにくいです。

そこでオーラの出番。
パワーの上がるオーラとして神聖なる好意、吸血鬼の印、闇の好意、トロール皮にスポットが当たります。
最近ではラヴニカへの回帰ブロックでオーラ戦術が通用しやすかったため使ってみたり使われたりしたのですが、意外と信頼おけません。

M14は青にバウンススペルがコモンにちゃんと存在しているので、オーラを張ると剥がれるリスクが相応にあります。
また感覚の剥奪や閉所恐怖症などアンチオーラ戦術カードもあるので特に青相手にはリスキーです。

また、赤にショックがあるのもネック。
赤マナが1マナ立っていると妨害される可能性があるので、タフ2以下には張るタイミングが見つかりません。

膠着時にはシブって中々使わない平和な心や泥沼病もオーラを貼った返しには使われる場合がほとんどです。

それでも数少ない突破要素ではあるので、強迫で事前確認したりオーラ術士と併用するなどのリスク回避手段を取りつつの使用ならば悪くないかなという印象です。

特に強迫はオーラの付いたクリーチャーに対する回答がほぼスペルしかないM14では保険としてメイン採用もあると感じています。

・威嚇が凄い
飛行も地上も固まる。
そこで最後の回避能力威嚇です。

呪われたスピリット(3B,3/2威嚇)がすごく強いです。これだけで15点削って終わった試合もありました。
ショックで死ぬ脆さもありますが、相手が対処法を持っていないときのこいつはまさにフィニッシャーです。

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自分が黒いデッキばかり使っていた感想なのでやや偏っている点はありますが、膠着しやすい点は試合展開として共通していました。


リミテッドのパワーレベル
http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/023049/

リミテッドのパワーバランスデザインについて、過去の環境を引き合いに出して解説しています。
旧くはオンスロートの火花鍛冶にまで言及してるあたり、昨今のwotcのリミテッド環境への力の入れ方が伝わってきます。

この中でも特に注目しているのは

我々が今のところ気をつけているのは、コモンのパワーレベルを《闇への追放》よりも下に保つことです。

の一文。
M14で《破滅の刃/Doom Blade(M12)》がアンコモンになりましたが、どうやらこの路線に従ってこうなったみたいですね。

MMAで《処刑人の薬包/Executioner’s Capsule(ALA)》がアンコモン化されていましたし、RTRの《究極の価格/Ultimate Price(RTR)》がアンコモンでしたね。
どうやらダーバニ系除去は今後コモンで見られることはなさそうです。

もう一つの注目点として、レアのカードパワーについてのデザイン。

ボムレアゲーとして名高いミラディンの傷跡を例としています。

出した⇒除去ない⇒うわー負けたー

な展開が頻発したSOM環境はやっぱり反省しているみたいです。
太陽破、蔵精錬、執行の悪魔、これら全部が非神話レアだったってのは今にして考えると恐ろしいなあ。

今後もあくまでレアリティ格差はある前提で作るが、上記のような「ただ強」カードは作らないという方針を取っていくそうです。
確かに最近のセットってレアゲー感が大分薄れてきてゲームしてる感があるので、ありがたい方針ですね。
M14フルスポイラー
http://www.wizards.com/Magic/tcg/article.aspx?x=mtg/tcg/magic2014coreset/cig

リミテッド視点(特にドラフト)で気になったとこを色別にいくつか。

【白】

・クリーチャーのパワーが低い

点数で見たマナコスト以上のパワーを持つクリーチャーがほとんどいません。
パワー<タフネスなクリーチャーばかりです。
天使の壁再録に特にその傾向がつかめます。

地上での殴り合いはせず、固めて上から殴るという基本戦術になりそうですが・・・

・フライヤー弱体化

今回の新規コモン飛行枠は突進するグリフィン(4マナ2/2飛行、殴ると+1/+1修正)。
再録で《陽光尾の鷹/Suntail Hawk(10E)》、《グリフィンの歩哨/Griffin Sentinel(M12)》。

なんとコモンでパワー2以上のフライヤーがたった1体しかいません。
ちょっと困りますね。

・またもやタッパー不在

タッパーと言えばリミテッドの華。
M10,11では《目潰しの魔道士/Blinding Mage(M11)》、M12では《ギデオンの法の番人/Gideon’s Lawkeeper(M12)》が収録され白の強さを支えてきました。

M13ではこのタッパー枠が消滅しましたが、今回もナシ。
基本セットでないエキスパンションでも《アヴァシン教の僧侶/Avacynian Priest(ISD)》を最後にコモンにタッパーを見られません。

M13が色の強弱バランスの出来が良いエキスパンションだったという事実を考えると、タッパーは強すぎるという判断がなされたのかもしれません。

・ピン除去枠の変化

《神聖なる評決/Divine Verdict(M13)》のようなレンジストライク系除去は今回は天界のほとばしり(WWの2マナインスタント、攻撃クリーチャーがブロッククリーチャーを一体生贄に捧げさせる)になりました。
ダブルシンボルになった上に確実性が落ちたこの除去は一体どこまでやれるのか?
今まで無いタイプの除去だけに、この呪文の評価次第で白の強弱は決まりそうです。

・アンコモン以上もパッとしない

アンコ除去枠《忘却の輪/Oblivion Ring(M13)》は放逐する僧侶に取って変わられました。
M13でビート戦略を支えた《栄光の騎士/Knight of Glory(M13)》、《オドリックの十字軍/Crusader of Odric(M13)》のようなクリーチャーも存在せず剣の壁が再録されていたりと、かなり後ろ向きな印象を受けます。
セラ天は唯一の救いでしょうか。

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基本セットの白と言えばリミテッドでは優等生なイメージがありましたが、今回はそうもいかなそうな印象を受けます。

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【青】

・フライヤーは優秀

青と言えばリミテッドでは白と同じく飛行の色です。
青のコモンフライヤーは伝書ドレイク(5マナダブシン3/3飛行、死んだら1ドロー)、海岸ドレイク(2マナ1/3飛行)、訓練されたコンドル(3マナ2/1飛行、攻撃時に対象クリーチャーに飛行付与)が新規。
それ加え《ネファリアの海鳶/Nephalia Seakite(DKA)》が再録です。

最近白に押され気味だった青のフライヤーですが、今回は質、量ともにナンバーワンの位置を確保できていると言えます。
特に海鳶という実績十分なクリーチャーを保持している点は安心できます。

・地上は固める

《巻物泥棒/Scroll Thief(M13)》、《装甲のカンクリックス/Armored Cancrix(M11)》が再録。
パワー3以上のクリーチャーがおらず、地上で殴る気はほぼ無さそうです。

スペルで《感覚の剥奪/Sensory Deprivation(ISD)》と《閉所恐怖症/Claustrophobia(ISD)》が再録されており相手の攻撃に対して受ける準備は十分できそうです。

・送還⇒分散

今回《送還/Unsummon(M13)》が再録されていません。
かわりにバウンス枠として《分散/Disperse(SOM)》が収録。インスタントでクリーチャーを失うと大損害になるスリヴァーに配慮した結果でしょうかね。

ソーサリー枠で《時の引き潮/Time Ebb(TMP)》が再録されているので、オーラクソゲーは回避できそうです、

・コンマジ不在

《精神の制御/Mind Control(M12)》はM13に引き続きナシ。
この枠はレアに格上げされた《家畜化/Domestication(ROE)》になりました。
リミテクソゲー過ぎたのでこのぐらいがちょうどいいと思います。

・アンコモンが充実

今回の青のアンコモンは非常に実用的です。

制空権支配に定評のある《大気の召使い/Air Servant(M11)》、安定クロッカー《幻影の戦士/Phantom Warrior(M10)》、信頼度の高い壁である《霜の壁/Wall of Frost(M11)》、攻防に活躍する《水の召使い/Water Servant(M11)》、大量ドロー《好機/Opportunity(ULG)》、とそれぞれの分野で一流のカードばかりが揃っています。

イーヴォ島の管理人(3マナ2/2飛行、飛行クリーチャーのキャストコストが1減る)、幻影の鎧(5マナオーラ、エンチャント先に+4/+4、エンチャント先が対象になったらこのオーラを生贄)の二つは新規カードながら見るからに強力そうで期待できます。

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低レアリティのクリーチャー、スペルの充実度を見る限り今回の青はかなりの強カラーだと思います。

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【黒】

・破滅の刃アンコモン化

今回の黒にとって一番ショックだと思っています。
M13で《殺害/Murder(M13)》に変わった確定除去枠ですが、今まで黒の強さを支えてきたコモンだけに、その出現枚数の低下はかなり大きな影響があります。

取れる機会が限りなく低くなってしまうので、1-1で出現したらさっさと抑えてしまっていいでしょう。

・除去の枚数自体はあるが・・・

《泥沼病/Quag Sickness(M11)》、《減縮/Shrivel(ROE)》、《肉体のねじ切り/Wring Flesh(M12)》となんとも言いがたい再録組。
新規で血の儀式文(5マナソーサリー、対象を除去してマナプールにBBBを加える)がありますが、これまた使いにくい効果です。

今まで黒の除去の特徴であったシンプルに使いやすいという点が欠けてしまっているので、従来の感覚は捨てたほうがいいと思います。

・クリーチャーはまずまず

回避持ちが呪われたスピリット(4マナ3/2威嚇)、凶眼のコカトリス(4マナダブシン、2/2飛行接死)、《夜翼の影/Nightwing Shade(M11)》。
重い代わりにパワーの高いカードが揃っているので、しっかり盤面を整えてから出せばフィニッシャーとして十分期待できます。

地上クリーチャーではミノタウロスの嫌悪者(6マナダブシン、4/6バニラ)、アンデッドのミノタウロス(3マナ、2/3バニラ)の新規バニラ組がタフネス偏重で守りのクリーチャーです。
他の再録組もどちらかと言えば守りのクリーチャーが多く、攻め手は回避能力持ちに任せておいたほうがいいと思います。

・アンコモン以上はそれなり

《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire(M12)》再録はありがたい。
クリーチャー生贄システムを搭載しているカードが多く、シナジー前提の印象を受けます。
《反逆の行動/Act of Treason(GTC)》と一緒に使ってねということでしょうか。
ただれたイモリ(ただれたゴブリンの異種再版)、執拗な死者(1マナ1/1、死んだときに1B払うと場に戻る)など生贄シナジーを形成するカードもあり、今回のひとつのテーマになっています。

レアもシナジー前提のクセのあるものが多く、「これ一枚で勝てる」タイプの圧倒的レアはほぼありません。
「ただ強いカードを叩きつければいい」という基本セットからは脱却しているなあという印象を受けます。

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黒は生贄システムを前提としたシナジーを意識した内容になっています。
加えて沼の数を参照するカードだ各レアリティに一枚づつあるため、赤を除く他の色との親和性が低く単色推奨のような雰囲気を受けます。
卓内で上手くガメれればかなり強力なデッキになりそうです。

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【赤】

・除去はやや物足りない

赤と言えば除去。

コモンの除去は《ショック/Shock(M12)》、《チャンドラの憤慨/Chandra’s Outrage(M12)》の二種。
《灼熱の槍/Searing Spear(M13)》、《金屑化/Turn to Slag(SOM)》だったM13と比べると軽く小回りがきくようになっています。

欲を言えばもう一枚除去枠を取って欲しいところですが、近年のクリーチャーでの殴り合い推奨っぷりを見るとこんなものでしょう。

アンコモンは《炬火の炎/Flames of the Firebrand(M13)》、《溶岩噴火/Volcanic Geyser(M13)》が引き続き再録。
あまり大きな変化は無いと思います。

・クリーチャーはパワー偏重

相変わらず丘巨人こと《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur(M13)》がいるあたりいつもの赤という感じ。
単体でのパフォーマンスは低いクリーチャーが多いです。
環境の速度に影響する2マナ3マナクリーチャーも大して強くないので極端にマナカーブを低く寄せた高速デッキは作りにくいと思います。

赤の注目点はマナコストよりパワーの高いクリーチャーがコモンに2体いる点。

無法の槌角(4マナ5/3アタック強制、獣の代言者がいればデメリットナシ)、レガーサの火猫(3マナ、4/1バニラ)がそれに当たります。
これらの攻撃を上手く通せれるかが鍵になりそう。
ベタですが《稲妻の鉤爪/Lightning Talons(ALA)》つけたりなんてのは面白いですね。

一応コモンに回避能力持ちとしてそこそこのサイズのあるサイクロプスの暴君(6マナ3/4威嚇、パワー2以下をブロックできない)がいるので、うまく場を持たせられるデッキを作れたときはフィニッシャーになってくれるかもしれません。

・黒との親和性

《燃え投げの小悪魔/Pitchburn Devils(ISD)》、《反逆の行動/Act of Treason(GTC)》の二枚がコモンなので、黒の生贄エンジンと組み合わせると効果倍増。
いずれも単品だと大して強くないカードなので、アーキタイプとしては狙い目です。

・レアアンコはドラゴン

コモンでは飛行戦力の薄い赤ですが、高レアリティではドラゴンの卵とかシヴの抱擁とかシヴ山のドラゴンとか強いのが沢山います。

赤をやる際はこれら高レアリティの重量級カードを軸とするか、コモンの頭でっかちを軸とするかをきちんと決めておいたほうがいいでしょう。

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除去の質、クリーチャーの内容共にM13の赤と良く似てるなーという印象を受けます。
M13の時と異なり他の色が防御的になっているので、その中で珍しい攻撃的カラーという点にどこまで活路を見出せるかがポイント。

------

【緑】

・重くでかいクリーチャー陣

今回の緑には《ケンタウルスの狩猟者/Centaur Courser(M13)》がいません。
かわりに《ルートワラ/Rootwalla(10E)》が入りました。

さらに注目したいのは轟くベイロス(ダブシン4マナ、4/4バニラ)。コモンで4マナ4/4が存在するのは結構な事件です。

この二枚は強力なカードですが、その分かかるマナも大きいです。
つまりこれらの能力を存分に発揮できるような落ち着いたゲーム展開を用意することになります。

幸い今回《大蜘蛛/Giant Spider(M12)》、《命取りの出家蜘蛛/Deadly Recluse(M13)》が揃って再録されているので、ゲームを落ち着かせるのに苦労はしないでしょう。

あるいはマナ加速戦術を使うのも手。
《遥か見/Farseek(M13)》こそありませんが、エルフの神秘家(ラノワールのエルフの同型再版)、マナ編みスリヴァー(スリヴァーがマナクリ化)、《新緑の安息所/Verdant Haven(GTC)》を使用して素早くファッティに繋げるのもいいでしょう。

5マナ域以降にもレシオに優れたクリーチャーが数多くいるため、出来るだけライフを保持した状態でゲーム中盤を迎えたいものです。

・充実の飛行対策

前述の蜘蛛二種に加え《垂直落下/Plummet(M13)》が安心の再録。
アンコモンには《暴風/Windstorm(M10)》も再録されており、緑に良くある「上が止まらず負け」というパターンはかなり減らせるのではないでしょうか。

・多色化しやすい

前述の《新緑の安息所/Verdant Haven(GTC)》と《地勢/Lay of the Land(APC)》の2種がコモンにあるので、多色化はかなりしやすいと思います。
除去や飛行クリーチャーなど緑に足りない要素を他で補うという戦術はありでしょう。

特に《霜のブレス/Frost Breath(M12)》と訓練されたコンドル(3マナ2/1飛行、攻撃時に対象クリーチャーに飛行付与)が緑のファッティと相性の良い青はタッチにもお勧めの組み合わせです。

・レアアンコはそれなり
踏み荒らしの後継種である大型化や《茨群れの頭目/Briarpack Alpha(DKA)》など戦闘に関係する強力カードがあります。
あとは少々特殊な条件なファッティなどで占められております。

まあいつもの緑ですね。

------

緑はM13と方向性は似ていますが、より重く、強大になったなという印象を受けます。
その上でテンポ負けを防ぐ蜘蛛二種の再録がされてるあたり、うまく調整されている感じもしますね。
俺妹も最終巻発売から一月。
遅ればせながらレビューしてみます。

※アニメオンリーの人にはネタバレになるので注意してください。














まず最初に言っておくと私はこの終わらせ方には肯定的です。

アマゾンでは1月で500件を超える膨大なレビューが付き、賛否ははっきり別れています。
それだけ期待が大きい作品だったということでしょうし私も楽しみにしていました。

さてはてその内容ですが桐乃エンドです。なんと実の妹。
京介は桐乃と彼氏彼女の関係になりますが、その過程で他のヒロインを容赦なく振りまくるシーンは衝撃的でした。
特にデスティニーレコードをビリビリに破く黒猫には胸を打たれるものがあります。

恋愛advなら各キャラにルートが存在し、全てのキャラとの幸せな結末を用意できますがこの作品はあくまでライトノベルです。
なので結ばれるヒロインは一人。ハーレム展開にきちんと決着をつけ、他のヒロインとの関係を曖昧にせず書ききった作者は素晴らしいと感じます。

ただ、実を言うと最初読み終わったときの感想は「え、本当にこれで終わりでいいの?」というすっきりしないものでした。
各キャラにフラグを立てまくって上でなんとなく決定してしまう恋愛advのようなルートの進め方だと感じました。

この作品に対する不満を持っている人は大きく分けて2パターンあると考えています。


1.自分のお気に入りのキャラが不幸になるのが見ていられない
2.桐乃エンドなのはいいが、その理由が不明瞭なのが納得いかない



の2つです。

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・キャラクターへの愛と近親愛の倫理

1つ目に関して。
これはこの作品がライトノベルである(=1パターンのエンドしかない)以上どうしようもないことです。

ハーレム物ライトノベルでは一人でも好きなキャラクターを読者に作ってくれるように仕向けることにより、多くの読者層を取り込もうとします。

読者は好きなキャラクターが一人出来れば1冊の本を買ってくれます。
俺妹で言うならば黒猫は好きだが他のキャラクターはどうでもいい読者Aとあやせは好きだが他はどうでもいい読者Bがいればそこで2冊の本が売れることになります。
ここでAとBそれぞれが全ての登場人物を好む必要はありません。キャラの抱き合わせ販売とも言えます。

ただしこのやり方は物語にケリをつけるときに代償を払わされることになります。
特定のキャラが報われれば他の全てのキャラは報われなくなるからです。もちろん報われなかったキャラのファンはいい思いはしないでしょう。

これを避けるには誰とのエンドも選ばず誰も傷つけない有耶無耶エンドしかありませんが、昨今それは支持されにくくなっているという事情があります。

アマゾンの「このレビューが参考になった」投票をよく見ていると、この特定キャラへの思い入れから不評をつける読者が案外多くて残念ですが・・・。

またヒロイン桐乃が実の妹であるという点は悪い評価に拍車をかけているでしょう。
これは物語の展開云々というものではなく実社会における倫理的な問題です。
作品中でも桐乃によって語られていますが、エロゲーの多くの妹キャラが義妹であると設定がされるのは例えフィクションであってもプレイヤーに心理的抵抗が大きいからです。

義妹という現実的にありえなくはないが限りなく自分の属する社会には関係無いという便利な設定を逃げ道としているのが妹モノの落としどころです。”自分と無関係な現実”とでも言いましょうか。
義妹設定では「義理の妹ならまあいいか、一応妹ではないし」という、自分と距離を感じつつも可能性としてはそれを認めるという土台が読者にできています。

ライトノベルでの主人公に複数の女の子が好意を持つ所謂ハーレム設定も同じように読者が”自分と無関係な現実”として認識できているから受け入れられていると考えられます。

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・語り手たる主人公は真実を紡ぐか

私が特に興味あるのは2つ目のパターンです。
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」をキャラクターへの思い入れからではなく、作品として好きな人たちの批判だと思います。

この特定キャラへの思い入れというよりは作品全体として楽しんでいるので彼らの意見には賛同できます。

私も読み進めながら京介は一体いつから妹を女として好きになったの?ということを考えました。

俺妹ではこの巻までに桐乃を恋愛対象として見ている京介の描写が思いあたりません。だから「桐乃はあくまで妹として好きだったんじゃないの?」というツッコミを入れたくなります。

しかし実際に京介は桐乃は恋愛対象として桐乃に告白をしています。

じゃあ一体どういうことだよ?今まで語り手としての京介は何を語ってきたんだ?となるのは普通のこと。
これに関しては終盤にて以下のような記述があります。

ところで物語の語り部ってのは、読者よりもちょっとだけ察しが悪いくらいが良いさじ加減なんだってよ。クソ喰らえだね。悪いけど、俺、それはもうやめたから。(12巻、p.236~237)

はっきりと語り部としての自分について言及していますね。
このスタンスを受け入れられるかが作品としての俺妹を支持できるかに直結していると考えます。

私はこれはこれでありだと思えるようになったのであまり気になりませんが、そうは思わない読者だっているでしょう。
特に俺妹は現実世界のオタク問題を取りあげ、それを部外者(=非オタク)としての観測者である京介が語ることによって、正面から向き合うという始まりだったので尚更その傾向が強いと思います。

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ここからは私個人の解釈を。あくまで想像ですよ。

「京介は本心から桐乃を好きなのではなく、世話焼き主人公として好きになっている。しかし語り手としての京介はそれを読者には伝えない。」

というのが私の結論です。

俺妹では他のラノベ主人公の例に漏れずお節介な奴です。
妹のエロゲーを自分のものだと言って庇ったり、特に親しくもない不登校児を学校に連れてこさせようとしたりとやたらと熱血漢です。

それに加えて順応力があります。
非オタクだったわりには抵抗なく妹からエロゲーをプレイしたり、黒猫らオタクコミュニティに溶け込み関係を築いていくコミュ力が備わっています。

そんな曲がったことが嫌いだが、その上で周囲の関係を上手くまとめる京介が俺妹の魅力だったと思います。

最終巻のもやもや感は京介の魅力である「周囲の関係を上手くまとめる能力」がかけてしまい、独善的な面だけが強調されていたことが原因です。

妹を恋愛対象として見るのは、いくらラノベ的世界観であってもタブーです。
それば桐乃と同じくブラコンである瀬菜が、桐乃から京介と付き合っているという事実を受けての台詞からわかります。

「(前略)どうしたら一番いいのかなんて、私にはわかりませんけれど……『おめでとう』とも言えませんけれど……応援、してますから」(12巻、p326~327)

幼き日の桐乃の思いを吹き込んだipodをシーンがありますが、京介は桐乃の思いに気が付いていたと思います。

ところがそんな桐乃の好きだった京介は11巻のエピソードを境に姿を消し、兄弟冷戦時代へと突入します。
俺妹は冷戦時代が解けカッコ良かった昔の京介を徐々に取り戻していく様を描いた話なので、その間に桐乃が京介への好意を持つのは当然の成り行きとも言えます。

「大きくなったらお兄ちゃんを結婚する」という子供なら許されるような発言も年を重ねるにつれ言いにくくなっていきます。

普通の兄妹であれば緩やかにそれを理解していきますが、桐乃は麻奈美がいきなり現実を叩き付けたこと、京介がある日を境に腑抜けた存在になったことにが原因で、身内を愛することのマズさを理解する暇を与えられずここまで来てしまいました。

京介はそのことに責任を感じ、桐乃の兄離れを自分が犠牲になること(=マズい兄妹間での恋愛を成立させる)で事態をきちんと桐乃に理解させようとします。
桐乃の気持ちに気づきながらもあえて自分から桐乃に告白し、桐乃を傷つけない方法で良い方向で導いてやったのではないかと。

それが嘘偽りでないことを自らにもきちんと認識させるために他ヒロインをガンガン振りまくります。

今の京介はスーパー京介なので、自分の気持ちを騙すことぐらいお手のものなのです。例え恋愛感情であっても。

つまるところ、お節介な主人公が不幸な事故の重なり(桐乃と麻奈美の接触、秋美の転校)によって後味の悪い結果に誘導されてしまったというのが、この物語へのもやもや感を生み出している。
これが私なりの結論でございます。

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